先日は将来カフェ開業を目指す方向けに、#1にて開業までのステップとコンセプトについてお話しました。
本日はお店のオープンに向けて大切な看板メニューについて書いていきますので、何かのヒントにしていただければと思います。
近江香織|Baristal
【JBAバリスタグランプリ2015・2017-第3位|IIAC-Master Professional|日本バリスタ協会認定|SCAJ認定コーヒーマイスター】
プロのバリスタとして、スタッフ教育・商品開発・店舗運営など、これまでのコーヒーにまつわる経験を活かし、事業主様の様々なお悩みのサポートをさせて頂きたいと思っております。
看板メニュー決めの必要性
メニューを最初に決めるのはなぜですか?
メニューが先に決まるとオープンまでに必要なことがクリアになっていくから、一番効率的なやり方だと思うの。
意外かもしれませんが、最初にメニューを決める方を推奨します。
先にお気に入りの食器やインテリアを揃えた後に、メニューを作ってみたら、もっと大きい皿が必要になったりテーブルサイズが足らなかったり、そもそも必要な厨房機器が無くて思うように作れなかったり、スペースが合わず作りにくかったりが起きてしまうかもしれません。
後々無駄なコストを掛けないためにも先にメニューが決まれば、必要な厨房機器が決まり、最低限必要な広さや設備などの条件が決まります。
メニューを提供したいお客さん層から出店エリアや立地条件が絞られていきます。
客層が定まり、物件が決まればそれにあった内装やインテリアなどを合わせていけます。
ここまで決まれば一番予算のかかる部分はほとんどわかってくるので必要な金額が出てきます。
自己資金で足りない場合は資金調達の方法なども考える必要が出てきます。
メニューを考える時のポイント
ドリンクだけでなく、フードのレパートリーも豊富にしたい!ポイントはありますか?
まずは自分が作れるものから考えてみて。100種類はレシピストックが欲しいわね。
看板メニュー+α
カフェには必ず”看板メニュー”が必要です。
自分が得意な物、一人で作れそうな物から考えてみましょう。
そこにトッピングを加えアレンジしてみることで、少しずつ幅を広げてゆきます。
素材の本物の味を知る
色々な食材を組み合わせるには、まず食材一つ一つの「本物の味」をしっかり知っていなければなりません。
複数の材料を組み合わせた時の味のイメージが的確にイメージでき、失敗が少なくなります。
普段から多くの飲食店に足を運んで、自分の味覚を鍛えておく必要があるわ。
テイスティングの資格を取るのも良いかもね。
地域の特産物を使う、地域の味覚を知る
地域の特産物を使うというのは強い武器になります。
実際に以前、お店を出した場所は漁師町だったので、地元の海産物(雲丹やサザエ)などを安価で朝どれでGET出来るのでそれを使用したピッツァやパスタなどを打ち出したところ、テレビで特集もされ、県外からもお客さんが来てくれるような人気商品になりました。
これも経験からなのですが、地方によって味覚の傾向もあるのでその土地にあった味付けに寄せるというのも大切かもしれません。
新しい食文化をその土地に持ち込みたいという場合もあるのですが、例えばボロネーゼ(ミートスパゲティ)を出していて、いまいち売れ行きが良くないなということがあり、その地域のミートスパゲティの人気のお店に行ってみたところ、味付けがかなり甘めという事がわかりました。
本格的な味を知って欲しいという思いもあり、イタリアでマンマに教わった味を再現していたのですが、思い切って甘めの味に寄せてみたところ急に人気が上がったという事がありました。
味覚というのは育った環境で形成されていくから、オープンするエリアの味というのを抑えられた上で、オリジナル商品を作れたら強いわね。
相性の良し悪しを考える
これ結構気づかないこともあるのですが、ドリンクとのペアリングによって、香りの組み合わせでお互いを高めあったり、打ち消したりすることがあります。
また、コーヒーを売りたいと思っていても、コーヒーに合わなかったり、フード単体で完結してしまうような商品だとドリンクが出なくなってしまうこともありますので、もしメインをドリンクに置きたい場合はフードのチョイスはそこまで主張しないものに留めておいた方がいい場合もあります。
前に記事にも少し書いたフードペアリングも食べ歩いたり試作を繰り返して、沢山経験して置くべきね。
トレンド(流行)をとる
これは必ずしも取り入れるべきことではないのですが、これから流行るであろうトレンド商品、インスタ映え商品をリサーチして加えるというのも一つです。
ただ、流行りには廃りがあるので時期を見て新たなトレンドを取り続ける必要性が出てくるので、一時的な売り上げは見込めますが、開発コスト、スタッフ教育の部分で少し大変かもしれません。
トレンド商品をメニューに入れるかは置いておいて、沢山の人から選ばれている商品・流行を知ることは大事。知った上でどう活かすか、アイデアのストックにして。
レシピ基準表
開発部などがない限り、個人経営でオープン後はしばらく新メニュー開発に取り組む余裕は中々取りづらいかもしれないので、開業までに季節限定メニューなどの入れ替え用メニューを含め、約1年分位のレシピをストックしておくのが理想的です。
メニュー名 ブレンドコーヒー
材料 | 使用量 | 単価 | 金額 |
---|---|---|---|
ブレンド豆 | 15g | ¥6000/kg | ¥90 |
シュガー | 3g | ¥4 | ¥4 |
クリーム | 5ml | ¥900/l | ¥45 |
売価 | 材料費 | 原価率 | 粗利率 |
---|---|---|---|
¥600 | ¥143.1 | 23.85% | 76.15% |
ロス率3% | ¥456.9 |
原価率=材料費÷売価×100/粗利率=100(%)-原価率
お店と家庭のものとの一番の違いは材料の「原価」や「原価率」などを把握しなければならない点です。
最初は材料の使用量や作り方などを書き込んでおき、仕入れ先が決まって各材料の値段がわかった時点で、減価率などを計算して記入してストックしていきます。
1枚でも多くストックできるよう、早速レシピ作りに取り組んでみて!
あとがき
今回は「メニュー決め」についてのお話。次回は「物件探し」についてのお話するよ。お楽しみに!
私の祖父が市場で魚屋さんやお寿司やさん、本家は農家、親戚は老舗の焼肉屋さんをしていたこともあって、子どもの頃から結構偏食…というより食べる物の鮮度が常に良かったしこだわる家だったので、美味しい物・食べ物、外食などのある種英才教育を受けてきたような形になり、味に敏感で食べ物にうるさい女に育ちました。
稼いだ分は美味しい物の体験に投資してきて、海外旅行も観光よりも食べる為に沢山いってきて、自分の中でレパートリーがストックされ続けてきました。
そのおかげでか、飲食業の世界に入ってから新メニューの開発が得意だなと感じることも多かったし、料理学校などはいっていないし独学や働き先のシェフ達の見よう見まねですが、食べたことがあるものは大体はレシピがなくても作れるし、お客さんに美味しいといってもらえているのは、積み重ねてきた様々なものを食べるという経験からだと思っています。
コーヒーを淹れる事ももちろんですが、商品開発のお仕事もいただけるようになって、実際に私が開発したメニューでお客さんが5倍になったという嬉しい結果を残すことができたこともあり、一途に食と向き合ってきて良かったなと思います。
私の話ばかりになりましたが、これから開業される方は「メニュー開発」というのはとても大事だということを念頭に、沢山食べて飲んで楽しみながら考えていただけたらと思います。
現在お店をされている方も、商品開発等に悩んだり、スタッフが多いお店は味の統一が難しい場合があると思いますが、テイスティング資格を活かしたトレーニング等も行えますので、お悩みがある方はご相談ください。
本日も最後まで読んでいただきGrazie&Amore♡Ciao~!
PR開業時にオススメサービス(実際に私も使用しています)